笹子トンネル崩落事故の原因

こ2012年12月2日に発生した
笹子トンネルの天井板崩落の要因に関して報道記事をレビューし
事故要因の考察や疑問点をメモする。
本日は構造設計の脆弱性に関しての考察である。
(設計がいかにも脆弱そうなので点検でこれを補うべき
 であるが、中日本高速道路はこれが犯罪的なザル検査だったようだ。
 点検関係は近日中に考察する。)


図1、図2は毎日新聞12月4日の社会面に掲載された構造。

図1



図2



天井板はプレキャストコンクリート板と呼ばれ
1枚当たり5mX1.2mX8〜9cm 、重さ1.2〜1.4t。
トンネル最上部のコンクリート内壁には
T字型鋼材(進行方向長さ6m、幅40cm)が16本の
ボルト(直径16mm、長さ230mm)で固定される。
ボルトはコンクリートの内部に130mm埋め込まれて
接着剤で固定される。

T字型鋼材1枚につき吊り金具(2.8t)5本が
1.2m間隔でつないである。

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考察1:
ボルト1本に懸かるかかる力はいくらなのだろうか?
T字型鋼材1枚が支える天井板は10枚だが各他端は
トンネル側壁で支えるので
1.3t X 10 ÷ 2 = 6.5t
ボルト1本に懸かる力は
6.5t ÷ 16 ≒ 0.41t

T字型鋼材1枚に懸かる吊り金具の重さは
毎日新聞の記事の書き方だと 2.8t は1本分なので
5本分で14t。
それとも2.8tが吊り金具5本と上下のT字型鋼材を
含む全体なのだろうか???
2.8tを吊り金具全体と仮定すると
ボルト1本に懸かる力は 0.18tが足され
計 0.59t になる。

通過する自動車の振動や地震の振動ではより大きな
荷重がかかる。
共振すればさらに大きな力が加わる。

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考察2:
コンクリートの劣化→ボルト固着力の低下→固着力消失

コンクリートモルタルの経年変化による劣化と構造の
崩れは身の周りに多く観察される。
酸性の水などがしみこむと劣化は大きく加速されるようだ。
固着力の低下したボルト部分に地震や自動車の振動で
通常以上の大きな力が加わり固着能力を超えると
一気に固着構造は破壊し固着能力は0に近くなる。
他の15本のボルト部の荷重が1/16増える。
固着能力の劣化のばらつきはボルト1本毎に大きく異なるので
直ぐには崩落しないが、
更に劣化が進み2番目のボルト部分の固着能力が0に近くなる。
残り14本での荷重が1/15増える。
固着能力が0になるボルトが増えて行き、あるところで
一気に崩落が起きる。

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考察3:
ボルト部分の劣化
 1)ボルト表面の錆びにより表面部分がボロボロになる。
 2)ボルト表面と接着剤の固着能力がなくなる。
 3)接着材が形状維持能力がなくなる。(ボロボロになる。)
 4) コンクリート表面と接着材の固着力が劣化する。
 5)コンクリート表面部分がボロボロになる。

 接着剤が付いたままのボルトが抜け落ちているとの報道から
 5)が支配的と思う。

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考察4:
 5) と 1)〜4) との違い
1)〜4)は工場で製造され経時変化特性など品質のばらつきも
小さくなるよう管理できると思う・。
一方、5)は現場および現場に近いところでの近いところでの作業に
より品質が大きく影響されるように聞いている。

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考察5:
 設計思想:
 初期費用とフォロー費用のどちらを重視するか?
後の憂いをなくすには初期費用がかかっても堅牢な高品質な
構造設計が望ましい。
笹子トンネルのような天井板構造は脆弱に見えるので
フォローコスト(検査コスト)は避けて通れないはずだ。

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考察6:
 検査
  検査結果(下請けの)を検査(中日本高速道路が)しているか?

  それを監視(国土交通省が)しているか?
 それらをメディアは監視出来ているか?
 国民は読者として視聴者としてメディアを監視出来ているか?

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続きは後日。